布を探しに~TextileDiver

布を探しに渡った島ティモールで見つけたのは、
仕立てられていない布を体に巻き付け垂らし揺らす村人の姿だった。
衣文化として着装される一枚布には、包む、敷く、被るなどの洋服にはない多様な使用法もあり、
体に巻いた布は道具としての布の携帯でもある。

それらの布は、家の女たちに継承される知識と技術により作られるが、
紡錘を回転させ糸を作る手の動き、
後帯機に掛けた経糸を腰で支えて調整するようすは、
女たちの体が道具とて直接機能し
、また家族の布を作るという個人的な感情も工程のなかで織り込まれていく。

模様には意味があり、布は共同体のなかで交換材としての儀式的な役割も果たし、
そこに加えて布を探しに訪れる外部の人間の参与によって換金された布は文化的環境を離れ、
新たな価値で迎えられる場所へと移動する。
布を媒体として広がる人との関係、そしてモノとしての布以上の、布と人の繋がりを探し歩く。

 







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   1995年から布探しの道ははじまりました。
日本島を出発してユーラシア大陸に渡り、タイ、ラオス、ベトナム、ミャンマー、ネパール、インドを巡り、再び出発点のタイに戻り、今度はマレー半島を下ってマラッカ海峡を船で渡りました。
到着したのはインドネシアのスマトラ島メダンの街。地続きの大陸から海を越え、次は島を東へ東へと向かう船での移動のはじまりです。スマトラ島からジャワ島、そしてバリ島へ、この時点ですでに日本島を出発してから一年半近い年月が過ぎていました。バリからその先のティモールへ行くことを決心させたのは、バリで手にした力強い幾何学模様の一枚の布でした。それはティモールから運ばれてきたと教えられたのです。

インドネシアは世界最大の島国です。東西5000キロに約13000の島があり独自の文化と言葉を持った民族が暮らしています。
ティモール島はインドネシアの東端に浮かぶ島で、島の半分は独立国東ティモール民主共和国。一つの小さな島は二つの国から成り立っています。

ティモール島の西側、インドネシア領に暮らすアトニ人はメラネシア系の民族で、スマトラ人、ジャワ人、バリ人などのマレー系の民族とは容姿も性格も随分違います。
またこのティモール島周辺が、大陸から伝った木綿と織物の最終着地点と考えられ、縮れた髪、銅褐色の肌に大きな瞳を輝かせ、裸足で布を巻く男たちと原始機で織物を織る女性たちの姿にすっかり魅了されました。
この先のメラネシア、ポリネシアには木綿の染織文化は伝わっていないのです。

日本島から大陸へ、大陸から島嶼インドネシアへ。ティモールからはじまった布の仕事は再び大陸東南アジア、中国を目指し、そしていまも続いています。
わたしは探しています。布を人を物語を。そしてそれらをつうじて、開かれる道を。

 
 
 





    






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